機械や大きなものを固定するアンカー。
その中でもオールアンカーと呼ばれるものが良く使われています。
下のようなもの。
このタイプのアンカーは、結構多く使われています。
オールアンカーの施工方法
オールアンカーを施工する時の手順としては、まずは、機械などの固定用の穴のところに、コンクリートのフロアにハンマードリルなどで下穴を開ける。
そして、オールアンカーを穴に入れて、先端のピンの頭を打ち込む。
ピンを打ち込むと、穴に入れたオールアンカーの先端部分が開いてその位置で固定されてオールアンカーが抜けなくなります。
後は、ナット部分を締め付けて、これで固定完了。
すごく簡単です。
固定するのは簡単、では、後々に機械を動かしたい時はどうするか?
ナットをゆるめて機械などを持ち上げて横にずらせばいい。
ただし、このアンカーの頭は残ります。
これがすごく邪魔なんです。
この頭の処理は、一般的にはディスクグラインダーで切断してフロアーと面一にしてしまえば終わりなのですが、どうしても火花や粉じんが飛びます。
場所によっては、火花がNGであったり、仕事の都合から粉塵もできれば出したくない、というような場所では切断はできません。
こんな時は何らかの方法でアンカーを抜くしかありません。
オールアンカーの除去方法
オールアンカーを抜く方法としては、代表的なものとして2つの方法があります。
ピンを抜く
オールアンカーを抜くために、ハンマーで打ち込んだセンターピンを抜きます。
ピンを抜くには、小さなバールか釘抜を使うと比較的やりやすい。
こういったものをピンとボルト部分の隙間にハンマーで打ち込む。
打ち込むバールなどの先端はテーパになっているため、少しだけピンが抜けてくるはずです。
フロアーに水を流したりするような場所など、環境によって、アンカーがさび付いているような場合は、結構抜くのに時間がかかります。
そんな時は少しでもピンが抜けやすいようにピンとボルト部分の隙間に、KURE5-56などをかけてやるのもいい。
まあ気休め程度かもしれません。
値段は標準のものより高いですが、こちらのDXがおすすめ。
浸透力が違うようで、1ヶ所なら大差ないかもしれませんが、数が多いようなときは結構な作業時間の短縮になります。
ピンとボルト部分の隙間が出来てきたら、もう少し大きなバールや釘抜に変えてまた打ち込む。
ある程度動いたら、ペンチやプライヤーで強引に引っ張るだけで抜ける場合もあります。
動いて隙間が出来てきたが、プライヤーなどで引っ張ってもピンが抜けないようなら、釘抜の要領でピンを引き抜いてもいい。
90°になっている釘抜の方をあてがいくぎを抜くときと同じように抜く。
テコをかけやすいように、釘抜の下に板などを引いてやればたいてい引き抜けます。
ピンさえ抜けてしまえば、オールアンカーの本体は、するりと抜ける場合がほとんど。
するりとはいかなくても、残ったアンカー自体をプライヤーなどで引っ張れば抜けると思います。
ナットを締める
ちょっと強引な方法なのですが、ナットを締めてアンカーを抜く方法もあります。
この方法はある程度パワーのあるインパクトとロングソケットがないとできないかもしれません。
ロングソケットを購入する場合は、オールアンカーのナットの対辺寸法は、普通のボルトとは異なるのでソケットのサイズには気を付けてください。
インパクトでやったことがあるのは、14.4V以上のもの。
14.4Vでもできますが、充電がちょっと早めになくなるなど、もう少しパワーが欲しいと感じました。
18V以上のインパクトだとわりと簡単にできた印象です。
作業としては、まずインパクトでナットを締め付けます。
普通のボルトなら、どこかで締めきって終わりなのですが、オールアンカーの場合、コンクリートとアンカーの接触部分がボルトの締付力に負けて、締めこめば締めこむほどアンカー自体が徐々に抜けてくると思います。
ここで、もし、まったく抜けてこないようなら、そこでこの方法は終了としてください。
先にあげたピンを抜く方法を使ってください。
ナットを締めて徐々に抜けてきたら、ネジ部の終わりくらいまでどんどん締め付けてください。
ただし、この方法では、ネジ部が終わってしまえばこれ以上はナットが回せないため抜くことができません。
そこで、ネジの終わりが見えてきたら、今度はナットを一度外します。
そして、金属の短いパイプようなもの(ミスミなどにある金属カラーやワッシャ)を入れてまたナットを締め付ける。
要するにネジ部でナットを締め付けられるようにかさ上げするような感じです。
大量のワッシャーやサイズの大きなナットでもOK。
ただし、サイズの大きなナットを使った場合には、オールアンカーのネジ部にナットの山が引っかかると締付時にネジ部を損傷してこの方法自体が使えなくなる可能性があるので気を付けてください。
これを繰り返すことでナットを締め付けるだけでアンカーを抜くことが出来ます。
かなり強引ではありますが、オールアンカーがさび付いていて、ピンを抜こうとしてもまったく抜けてこないことがあるため、この方法も試してみるといいでしょう。
ただし、少々問題点もあって、アンカーの下の方が広がっている状態で強引に引き抜くため、抜けると同時に床面のコンクリートのアンカー穴の口がもげて大きくなってしまうことが起こります。
穴の入口まわりが剥がれ、皿ねじのザグリのような形状になってしまう。
フロアの状態や穴の具合によっては、意外と綺麗に抜けることもありますが、穴の口が一緒に剥がれてしまう場合のほうが多いかもしれません。
それくらい気にしない、または、穴をモルタルや補修材で埋める予定、という場合は、この方法でも問題ありません。
試す順番としては、まずはピンを抜く方法、その次にナットを締め付ける方法、がいいかもしれません。
私がやったことのあるサイズは、M8、M10、M12程度のオールアンカーですが、状態によってかかる時間に違いはあれど、今のところ抜けなかったサイズはありませんので、これくらいのサイズは問題なく抜くことが出来ると思います。
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