昔は電気工事士の技能試験では指定工具以外は使用禁止でした。
電工ナイフでちまちまと電線の被覆を剥いてました。
はっきり言ってめちゃくちゃ面倒だった。
それが今や電動工具以外は何を使ってもいいということになっています。
そこで指定工具以外に必要なものとして最も重要なものはなにか?
間違いなくVVFケーブルの被覆を向いたりするストリッパーです。
試験に電工ナイフだけはあり得ない
技能試験のためだけでなく実際の現場でのことも考えて、あえて電工ナイフで施工する、なんて考えて将来のことを見据えて作業をなどの余計なことは考えてはいけません。
電工ナイフとVVFストリッパーでの作業を比較したらスピードが違いすぎます。
電気工事士の技能試験で難しいのは、正確に回路を組む、ことではありません。
特に、試験問題が事前に公開されるようになってからは、基本的にちゃんと練習していけば、回路を間違えた、ということはケアレスミス以外では、ほとんどないのではないでしょうか?
回路を正しく組むことが難しくないなら、なにが難しいか?
それは決められた試験時間内にその回路を完成させることです。
練習と同じように本番も作業できるなら問題ありません。
それくらい作業に慣れているなら、合格はほぼ間違いないでしょう。
でも、多くの方は、絶対に合格できる、と自信を持って臨むほどの練習時間は取れていないと思います。
ある程度練習はしたけど大丈夫だろうか?と不安を抱えたまま本番に臨む方がほとんどです。
本番では、緊張していることもあって、慎重になりすぎたりして、練習の時よりも作業は確実に遅くなってしまいます。
作業が遅くなった結果、時間に追われあせってしまい、回路ミスや作業ミスが起きてしまう。
悪循環です。
こうならないためには、慎重に作業するための時間が必要となります。
その時間を稼ぐためには、どうするか?
とにかく作業を簡単に早くできるようにするしかありません。
そのためにVVFストリッパーは絶対に欠かせない道具となります。
電気工事士の技能試験の時には指定工具以外では、VVFストリッパーだけは絶対に持って行ってください。
VVFストリッパー どれがいい?
試験に合格することだけを考えて選ぶなら、最もコストパフォーマンスがいいのはこれです。
一応、メーカー違いで2種類あげておきます。
これだけでVVFケーブルも切れますし、被覆も向くことができます。
そして、価格も安い。
個人的には指定工具とこれだけで十分だと思います。
このタイプのメリットは、ケーブルの切断もできますし、被覆も剥けるため、工具を持ち替える必要がない、というのも意外と大きなメリットとなります。
実際の試験の時、材料、実技試験の問題用紙、筆記用具、そして、持っていった工具一式を机の上に並べることになります。
実際やってみると机の上はそれらによって、かなりのスペースが取られてしまいます。
工具は電動工具以外であれば何をつかってもいい、とはいうものの、スペースの関係から念のため持っていく、とか、あると便利かも、というような工具をたくさん持ち込んだりすると、むしろ作業性が悪くなり、逆に足を引っ張ることになってしまいます。
先にあげた2種類のストリッパーの中では、個人的な使用感としては、上のホーザンのほうが使いやすいかもしれない、と感じました。
下のは知人に借りて少し使った程度ですが、借りたものがかなり使い込んであったためかもしれませんが、ホーザンのほうが切れ味が良いと感じました。
それとホーザンのストリッパーにはケーブル外皮を向く部分にケーブルのガイドになるようなでっぱりがあります。
初めはあれが邪魔だと思っていましたが、どうやら意味があることに気が付きました。
しばらく使っていたら、あのでっぱりのおかげでケーブルと工具が垂直か?ということをほとんど意識しなくても真っすぐケーブルを差し込めているような気がするのです。
まあMCCのほうでもまったく問題はありませんし、ホーザンのほうを使い慣れていたため、いいと感じただけかもしれませんが。
練習はどうするか?
個人で練習するならホームセンターで材料を少し揃えて、後はホーザンが作ってくれているyoutubeの動画で練習するだけで実技は十分だと思います。
youtubeで、「電気工事士技能試験」などを検索すればたいていすぐに出てきます。
技能試験の候補となる問題すべてを解説してくれています。
電気工事士の1種、2種や古い試験の物など、受験する試験と違うものと間違わないようにだけ気を付けてください。
材料については、最低限の材料だけなら1万円もしないである程度揃えられそうです。
ちなみに、材料は全部購入する必要はないと思っています。
ケーブルと電気器具一式があれば十分でしょう。
全部あればより試験と同じ条件で練習もできますが、アウトレットボックスや配管、エコケーブルなどは無くても大丈夫。
それらを使ったときの作業は、特別難しいものではないので、動画を見ながらどういったものか、どのように作業するか、を勉強しておくだけでも大丈夫だと思います。
ただ、絶対に合格したい、時間もあってきちんと勉強したい、という方はホームセンターで迷いながら材料を集めるよりも、下のようなセットを購入したほうがいいでしょう。
ホーザン(HOZAN) 令和4年 第二種電気工事士技能試験 練習用部材 DK-51 1回セット ハンドブック付
上にあげたものは古くなっている可能性がありますので、これの実際に受験する年度のものを確認したうえで購入してください。
このセットには防護管やバインド線など、本当に試験に出るものすべてが入っていますので、「これ、動画では見たことあったけど、実物は試験本番で初めて見た。」という状況を回避できます。
やはり実物をさわったことがある、という安心感は大きいと思います。
初めて見るものに動揺していると時間もロスしますからね。
それから実技試験の動画を見ているとこんなクリップで配線を仮に固定しています。
これはあると便利、でも、無くても大丈夫というものです。
クリップで仮にとめて、リングスリーブや接続コネクタで接続、その後、クリップを外す。
ちょっとネックなのは、クリップがある分、作業が増えてしまうことですね。
配線が3本程度ならクリップなしでもまったく問題なく作業できます。
ただ、もし4本以上を接続するような問題が出たときは結構役に立つかもしれません。
合格クリップの微妙なところは、少し作業に慣れてくると、逆に、取付け、取外しが面倒でクリップが不要になることです。
作業に不慣れな方にはあると便利、ともいえるのですが、作業に不慣れだからと合格クリップを準備しておくよりも、クリップなんて邪魔、と感じる程度に練習しておいたほうがいいのではないか?と個人的には思います。
また、まだ指定工具を一つももっていないという方には下のセットがおすすめ。
このセットなら試験に使う工具一式と上で紹介したような材料一回分がすべてセットになっています。
これを購入すれば工具、材料ともに準備は完了。
あとは動画を見ながら練習あるのみです。
練習用材料セットは、1回分、2回分など2回、3回と全問練習できるだけの材料がセットになったものもあります。
どれくらい練習したいかにもよるのですが、個人的には1回分のものでも十分だと思います。
全問練習しておけば、後は脳内練習、シミュレーションで十分。
2回分といっても各器具がたくさんあるわけでもないようですし、ケーブルなどの切断してしまうため何度も使えないものが、2倍、3倍の長さがあるだけ。
ケーブルなども一度使ったものを取り外して、少し短めにして作業すれば、苦手な回路だけ2、3回練習することは十分可能です。
全問練習した後、もっと試験時と同じ感じで練習したいと思うなら、ケーブルなどの消耗品だけ、ホームセンターなどで追加購入することもできます。
ちなみに、このようなセットはたくさんの種類があります。
DVDが付いていたり、試験の解答が付いているものもある。
ただ、Youtubeなどで電気工事士の技能試験の解説動画はアップされていますし、DVDが必要かどうかは微妙です。
テキストや解答は、あると便利ではあります。
DVDやテキストなどは、あればありがたいけど、無くても構わない程度なので、上にあげた一回分のセットで十分だと思います。
実技試験対策アイテムって必要?
以前からあった合格クリップにくわえ、さらにいくつかある試験対策アイテムのうち、HOZANのものを紹介します。
まずは、VVFストリッパーに取り付けるストリップゲージ。
ホーザン(HOZAN) 合格ゲージ 電気工事士試験の時間短縮に 適応P-958/957 P-925
これはあると便利です。
私としては、合格クリップよりこちらがあったほうが便利なのでは?と感じています。
合格クリップはリングスリーブの圧着などの作業はやりやすくなるのですが、取付け、取外しという別の作業が増えてしまう、というデメリットがあります。
それにたいして、このゲージにはストリッパーに付いていたからと言って大きなデメリットはありません。
そして、特に本番よりも練習時にあるといいかもしれません。
第二種電気工事士の技能試験を材料セットを購入してきちんと全問一回り練習する。
その時ゲージを取付けて作業すれば、練習が全問一回り終わったころにはゲージなど必要ない程度に被覆剥きのだいたいのサイズがわかるようになっていると思います。
余ったケーブルで今度はゲージを外して、もう少し練習しておけば、ゲージ無しでもまったく問題なく作業できるようになるでしょう。
ゲージがあると規定のサイズの被覆をきちんとむくことが出来ます。
ただ、それほどこだわらなくてもいい被覆剥きの寸法に、ゲージがあるせいで思わずきっちりと寸法を合わせてしまって、ゲージなしよりも時間がかかってしまう、ということになりかねないので注意してください。
次はこちら、合格マルチツール。
ホーザン(HOZAN) 合格マルチツール DK-200 第二種電気工事士技能試験用 電工試験
これも便利は便利な道具なのですが、すべて他の工具の代用として使用するだけですので、無くても問題なし。
ただ、配管をアウトレットボックスに取り付けるときにボックス内のナットを回す時にはウォーターポンププライヤよりは断然やりやすい。
たいした値段ではないし、机の上でもたいして場所をとるわけではないので購入するのもありですね。
ただし、練習時からこれを使ってやっておいてください。
そうしないと、本番でいつもと同じように思わずマイナスドライバーやプライヤーを使ってしまったりして、この道具の存在を忘れてしまって、使わないまま終わってしまった、ということになってしまいます。
普通の工具で練習していて、なしでも大丈夫そうだ、と感じるようなら購入は不要です。
最後にこちらを紹介。
ホーザン 合格配線チェッカー 第二種電気工事士技能試験練習の回路確認に 複線図ポスター付属 Z-222
もはや工具ではなく、練習時に作った回路が正解かどうかを確認するもの。
これはやる気があり、しっかりと練習に取り組める人には、まったく必要ありません。
ただ、私を含めて、ほとんどの方は、ある程度練習していて慣れてくると、すごくだれてきます。
同じような回路ばかりですので、飽きてしまうのです。
練習して作った回路の答え合わせもいいかげんになってきて、まあ間違いないだろう、とおざなりになってくる。
すると実際には間違った回路を作っていても、それに気が付かないまま、その間違っている回路を正解だと思い込んでしまうこともでてきます。
これが一番危険なのです。
ある程度しっかりと練習しているだけに、もしその間違って覚えてしまっている回路が試験に出たら、なんの迷いもなく間違った回路をそのまま作ってしまう。
練習時のミスにより不合格となってしまいます。
そんな失敗を防ぐために、練習時にこれがあれば、少なくとも練習段階で間違いに気が付くことができます。
基本的には不要ですが、練習に飽きてきたときにあると、もう少しだけ頑張れるかもしれません。
でも、飽きるほど練習すれば、もう普通の工具だけあれば、まず合格だとは思うけどね。
実際の仕事で使えるか?
VVFストリッパーですが、実際の仕事でも十分使うことはできます。
ただ、実際によく使われているのは下のようなものです。
ベッセル(VESSEL) プロコン VA線ストリッパー 3200VA-1
ハンドルを握りこむと被覆を向くことができるもの。
なぜVVFストリッパーでなく、こちらがよく使われるのか?
実技試験程度の回路ならもしかするとプロでもVVFストリッパーを使うかもしれません。
でも、実際の現場ではその何倍、何十倍ものケーブルの処理をしなくてはいけない。
VVFストリッパーは、被覆を向くときに意外と力が要りますよね?
それが現場ではネックとなります。
とにかく腕が疲れてしまうのです。
大量に処理をしようとするといかに早く疲れないで作業をするかもポイントとなります。
ですから、もし試験のその先まで見据えるのなら、上のような工具がおすすめです。
ただ、VVFストリッパーはたいした金額でもないし、VVFストリッパーが仕事でつかえないわけではないので、試験のためにVVFストリッパーを購入して、仕事で使う工具については、合格した後に考えればいいかもしれませんね。
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